H-1B抽選に落ちた後の5つの選択肢

毎年3月末、米国にいる日本人留学生が「H-1B抽選落選」という通知を受け取る。USCISの公式データによれば、近年の選抜率は約25-35%。約6-7割の応募者が落選するが、抽選に落ちたからといってすぐに帰国する必要はない。現実的な代替ルートが複数存在し、今回その方法を紹介します。

3月末に抽選に落ちた場合、多くの大学・大学院のOPTは卒業時期の5-8月頃が開始・終了時期となるため、早急に違うビザへの移行・準備が必要となる。具体的にどのように他の方法を検討できるかをリストアップしてみた。

■ 選択肢①:OPT延長(STEM OPT)で最大3年間滞在

STEM(理工系・数学・コンピュータ)専攻の卒業生は、通常のOPTの12か月に加えて24か月の延長が認められる。合計で最大36か月、就労しながら米国に滞在できる。翌年のH-1B抽選に再挑戦できるため、抽選落ちの「リカバリー期間」として最も活用したい手段。ただし雇用主がE-Verifyに登録されており、かつ(ボランティアやインターン等ではなく)給与が支給され、週に20時間以上勤務する等いくつかの必要条件を満たすことが必須要件。

■ 選択肢②:O-1A自らの実績でビザを獲得するルート

O-1Aは別の記事で説明の通り、卓越した人材(Individuals with extraordinary ability)、へ発行されるビザの事。自らの実績次第ではあるが、移民弁護士と相談の上で自らのケースが承認されるか可能性があるどうかを判断する必要がある。O-1Aでの記事に記載の通り、自分がいる分野・ジャンルでの過去のケースを取り扱った事がある弁護士に頼るのが一番であり、経験が少なかったり、分野に理解がないと感じる弁護士には頼らない方が良い。

■ 選択肢③:E-2条約投資家ビザで独立・起業・転職

日米間には投資家向けの条約が締結されており、一定額を米国事業に投資した日本人はE-2ビザを取得できる。明確な投資額の下限は定められていないが、実務上は$200,000〜(事業体によっては$50,000等もありうる)の投資・事業実績が審査基準の目安。フリーランス・コンサルタント・飲食業など幅広い業種で活用されているが、この投資準備には少なくとも6か月くらいの期間を見ておきたい。もしくは、日本人や日系企業が保有・経営する会社であれば、E-2ビザを取得可能なため、それらの企業への転職も視野に入れたい。

選択肢④:F-1学生ビザに再度切り替える

OPTやSTEM OPTが終了し、H-1Bやグリーンカード申請をしていない場合でも、F-1ビザ(大学院/MastersかPhD)に戻る事が可能。実際に、同じ大学院卒(Masters)の韓国籍の友人がF1 STEM OPT終了後に、異なる大学のMasters Degreeに応募・入学する事でさらに追加で1-2年の留学・滞在期間を取得した。2点注意しなければいけないのは、

1:学校への入学は4月時点では既に締め切っている事が多く、4月以降で入学が許されるプログラムに限定されるor事前に教授をちゃんと話をしておいて入学が可能なように準備する必要がある

2:OPTは同じ学位では利用できないため、一度MastersでOPTを使った場合は再度Mastersに行ってもOPTを使えない。BachelorsでOPTとSTEM OPTを使った場合は、Mastersで利用可能。MastersでOPTとSTEM OPTを使った場合でも同様にPhDでの利用は可能となる。

■ 選択肢⑤:B-2観光・訪問ビザで時間を稼ぐ

B-2観光・訪問ビザは一般的には観光や訪問を行う際のビザであるが、最長6か月までの申請ができる。もし上記1~4でどうしても道が切り開けなかったものの、後3-6か月あればなとかなる、という場合は観光・訪問ビザに一時的に切り替える事で滞在を維持し、他のビザへの切り替えというルートも可能である。これはまさに最終手段であり、次のビザがちゃんと取れるかどうかも分からない中で全力で生き抜く手法と言える。

これ以外にも、日本の会社に駐在枠として入社し米国勤務したり、婚約をベースとした滞在を行ったりといった方法もあるが誰もが使えるとは言いづらい。オーバーステイはするべきではないという前提において、上記の5つの選択肢はH-1Bを出す前からしっかり検討・準備をしていくべき。

H-1B抽選落選は「終わり」ではなく「再設計のきっかけ」。米国で働き続けるための道は、複数の方向から開いている。

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