【インタビュー#4】Kellogg MBA卒業生が語る「発信する・リーチアウトする」ことの大切さ

はじめに

今回のDreamAcrossインタビューでは日本国内の大学にて法学部を卒業後、外資系製薬会社の営業、ヘッドハンティング、看護師向けスタートアップを経て、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のMBAに進学し、現在はカリフォルニアのベイエリアにいるS.L.さんにお話を伺いました。

法学部から製薬営業、そしてアメリカのMBAへ。一見するとバラバラに見えるキャリアの裏側には、どんな思いがあったのでしょうか。

海外にルーツを持つ「日本育ち」

S.L.さんは日本で生まれ育ちましたが、ご両親は韓国出身です。S.L.さん自身は日本の教育機関にすべて通っており、「中身は日本人の方にかなり近いと思います」とのこと。

お父様が日本に来た当初、なかなかつらい経験もあったようで、S.L.さんとS.L.さんの兄には「お前達は日本に残る必要はない。アメリカに行けば、お前はアメリカ人になれる可能性だってあるんだ」と口酸っぱく言っていたそうです。NBA(アメリカのプロバスケットボール)が好きだったこともあり、幼い頃からアメリカに興味を持っていたと言います。

ちなみに、お父様からはもう一つお題があったそうです。「兄弟のどちらかが医者に、どちらかが弁護士になれ」と。お兄さんは理系で医者の道を志し、S.L.さんは弁護士を目指して法学部へ。結果、お兄さんは獣医師に、S.L.さんは弁護士にはならず。「ニアミスで父の夢は達成ならずでした(笑)」、との事。

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抗がん剤の営業からヘッドハンティングの世界へ

大学卒業後は外資系製薬会社に入社し、抗がん剤の営業を3年間担当。仕事は楽しく業績もよかったものの、営業部で20〜30年のキャリアを積んだ先輩方を見て、「このままこの道をたどって行って、自分のキャリアはいいのか?」と不安を覚えたそうです。

ちょうどその頃、社内のリーダーシップ交代があり、リーダーが組織に与える影響力の大きさを実感。新しいチャレンジを求めていたところ、ヘッドハンティングを行う会社でヘルスケア領域のリサーチャーの話があり、約4年間、クライアントのCレベル・エグゼクティブレベルのポジションのサーチに携わりました。

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コロナ禍で出会った看護師スタートアップ

ヘッドハンティング企業での勤務中にコロナが始まり、身近な人が看護師として過酷な状況に置かれているのを横で見ていたS.L.さん。インターネットで看護師の業務改善について調べる中で、元看護師の方が立ち上げたスタートアップのブログを見つけました。

「その日のうちに長文メールでリーチアウトしました。翌日、原宿で会ってくれて、2〜3時間話し込んだ末に一緒に仕事をすることになりました」。Go-to-Market(新規市場参入)戦略の策定や営業活動など、アーリーステージのスタートアップで実務経験を積む貴重な機会になったそうです。自分が興味関心がある領域に関して調査して、実際に働いている人に連絡をとって話を聞く、というのは以前のT.S.さんも実践されていました。

なぜMBAへ?

MBA進学の理由はシンプルで、「アメリカで働きたかった」とS.L.さんは言います。お父様の言葉もあり、日本以外に住む選択肢を持ちたいという思いはずっとあったものの、職場にオフィス内トランスファー(海外転勤)の制度がなく、具体的な機会がないまま過ごしていたようです。その中で見つけたのが米国のMBAでした。

商社やコンサルのようなトラディショナルなバックグラウンドではなかったため、テストスコアもエッセイもスピード重視より質重視で時間をかけて準備。GMATを1年間で5回受けて710止まりでしたが、GREに移行してからは2回目でGMAT換算740相当のスコアが出たそうです。「GMATでなかなかスコアが出ない方は、GREへの切り替えをぜひ検討してみてください」とアドバイスをくれました。

Kelloggで感じた「起業が身近にある環境」

Kelloggではヘルスケアと起業にフォーカス。ベンチャーキャピタルでのサマーインターンも経験しました。

最も印象的だったのは、24〜25歳の若い学生が起業を真剣に考えている姿です。あるクラスではMBA、医学部、バイオエンジニアリング(生体工学)、デザインスクールの学生でチームを組み、実際に会社を設立するところまで学校がサポートしてくれたそうです。「みんな自分の意見を持っていて、人前でビジネスのポテンシャルを話すことに気後れがない。日本とはマインドセットがかなり違うと思いました」

もう一つ実感したのが、マイノリティになるという経験。日本では東アジア人としてマジョリティに属することが多いですが、アメリカでは自分がマイノリティとなり、意見が食い違ったり、人を説得するのが難しかったりと、多くの学びがあったと言います。

卒業後、日本のバックグラウンドが「強み」になった

卒業後のフルタイムの就職活動にはかなり苦労したそうです。「自分の強みは何だろうと考えた時に、日本のバックグラウンド、日本語、日本の商習慣を知っていること。日本では当たり前だけど、アメリカではそこに自分のユニークな価値があると気づきました」

サンフランシスコベイエリアに来てからは日系の起業家にコンタクトし、サステナビリティ関連の事業や、AI×医療のスタートアップのGo-to-Market戦略策定など、複数のプロジェクトに携わっています。

アメリカに住んでみて

「正直、今後どうなるかはまだ分かりません」とS.L.さんは率直に語ります。アメリカに来てから改めて、日本が大好きだし、日本食は美味しいし、物価は安いし、住みやすいと感じた。一方で、大きなチャレンジをしたいなら、アメリカは挑戦する人に向いている場所だとも思う。「その『分からない』という状態自体が、アメリカに来なければ得られなかった気づきだと思います」この「分からない」という不確実性がある中で常に考え、挑戦し続けるという姿勢は、S.L.さんが日本の「なんとなくこうなるであろう」というキャリアにはなかったものかもしれません。それこそがアメリカに来て、強くなる・成長する、という事なのではないかと感じました。

日本からアメリカを目指す方へ

最後に、日本からアメリカに来たい方へのメッセージを伺いました。

「まず、興味がある分野には積極的に情報収集をしてほしいです。アメリカの大学院にはたくさんの機会がありますが、誰も親切に教えてはくれません。Slackのグループに入ったり、LinkedInに参加したり、自分から情報チャネルに積極的にアクセスすることが大切です」

「もう一つは、自分が取り組んでいることを周りに発信すること。日本人的な感覚だと成果が出てから言いたいと思いがちですが、発信することで専門家からアドバイスをもらえたり、新しいつながりが生まれたりします。結果が出るか分からなくても、恥ずかしがらずに発信してみてください。MBAではみんながいろんなことに挑戦しているので、お互いを応援する文化がありますから」

「英語は大変だし、アメリカの感覚を身につけるのも大変です。でも、やれないことはない。一生懸命頑張れば、機会はアメリカにたくさん転がっています」

S.L.さんのようにアメリカで今まさに挑戦している方の話を聞くと、これから留学や新しい挑戦をしようとする人達の勇気になると確信しています。何がその人にとっての、「成功」、なのか。そして、実際に日本やアメリカで「今まさにもがき続け、生きている」、そんな挑戦者達をS.L.さんはまさに代弁していると感じました。

あなたのアメリカでの挑戦をDreamAcrossでは応援しています!

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