MBA中の夏休みはリフレッシュの時間だと思っていませんか?ビーチでのんびりして、旅行して、2年目に備えて充電する、そんな時間ももちろんありますが、それだけではありません。
MBA1年目の夏は、卒業後のキャリアを決める最も重要な10週間と言っても過言ではありません。インターン先によっても仕事の内容や忙しさは異なりますが、かなり忙しいインターンも存在します。
この記事では、Summer Internshipに関して、準備、選考、実際の経験などをお伝えします。
Summer Internshipとは何か?
MBA1年目終了時の夏(6月〜8月)に行う、通常8〜12週間のインターンシップです。
なぜこんなに重要なのか?
- 多くの学生(5割‐7割)が、インターン先からフルタイムオファーをもらう
- 2年目の就活が大幅に楽になる(すでに内定がある、もしくは、フルタイムの選考でかなり他より有利な状況になる)
- 業界を「試す」ほぼ最後のチャンス
- MBAで学んだことを実践で試せる機会
- 給料も結構いい(コンサル・金融・テック等であれば、週$2,000-3,000)
つまり、Summer Internshipを取れるかどうかで、MBA後のキャリアが大きく変わります。もちろん夏で働いた場所とは別の会社に就職する人は多くいますし、Summer Internshipをせずとも素晴らしい会社に就職する人も大勢います。
私の同級生の例:
- Aさん(コンサル):McKinseyの夏インターンからフルタイムオファー。2年目は就活せずにクラブ活動に専念。(これは投資銀行でも同様です。)
- Bさん(Tech):Adobeの夏インターン後、通常選考の候補者が行う面接ステップをいくつか飛ばし、最終選考手前からフルタイム就活。その後オファー。
- Cさん(起業):インターンせずに自分のスタートアップ立ち上げ。夏やピッチコンテストに参加したり自身の事業アイデアに専念。
- Dさん(金融):母国の投資銀行にてサマーインターン後、米国アマゾンシアトルオフィスのFinanceチームでフルタイムオファー取得。

選考スケジュール:9月からすでに始まっている
ここが最初の衝撃でした。「夏休みのインターン」なのに、準備は入学直後の9月から始まります。大体こういうところで採用しているところは大手の企業でMBA卒業生用のインターンを行っている企業です。MBA採用なのにMBA始まる前から仕事に応募するのは若干違和感でした。
典型的なタイムラインは以下の通りです。下記は業界、学校、業種などによって大幅に違いますのでご参考まで。さらに学校によっては就職活動の時期を制限しているところもあります。私の学校では、学生は2月頃までは学業に専念するために、内定を出しても承諾できない、ということを企業側に伝えていました。(この制度を利用して一つ内定がある学生が別の企業を受けるというような、悲しい事態にもなってしまっていましたが。)
9月(入学直後):
- コンサル・投資銀行のCoffee Chat開始
- Career Services主催のレジュメワークショップ
- 企業説明会
- 各業界の就活グループ組成
- 応募開始
- 授業どころではない人続出・キャンパス内でスーツを着る人発生
10月:
- コンサルのケース面接対策が本格化
- ネットワーキングイベント毎週
- レジュメ提出締切(早い企業)
- Mock Interview(模擬面接)
11月:
- 投資銀行・トップコンサルの応募締切
- 1次・2次面接(電話・ビデオ)
- ケース面接(コンサル)
- Super Day(IBの最終面接、朝から夕方まで)
- 周りが「オファーもらった!」と言い始める
- オファーが出ていない人達との会話・関係が少し気まずくなる
12月:
- コンサル・IBの最終面接
- オファー・リジェクト通知が山のように来る
- 事業会社の募集本格化
- この時期が最もメンタルにくる
1-2月:
- 投資銀行は基本的にすべてのプロセスが終了、コンサルは若干残っている印象
- Tech、VC、スタートアップの選考ピーク
- 事業会社の面接本格化
- 学期の開始とともに就活グループ再組成
3月以降:
- 事業会社のポジションはたくさん存在
- Tech企業の内定が出始める
- レジュメの推敲、書類応募、面接練習を引き続き行う
つまり、入学から2-3ヶ月でオファーが出る企業もあります。
私の友人は、10月に「まだ大丈夫でしょ。」と言っていましたが、12月にはコンサルのポジションがほぼ埋まっていて後悔していました。彼は結局2月にTech企業のインターンを取りましたが、「もっと早くやっておけばよかった」と言っていました。必ず早めに準備するようにしてください。
業界別の選考の違い
投資銀行(Goldman Sachs, Morgan Stanley等):
- 最も早い:11-12月に終了
- 労働時間が長い:週80-100時間
- 技術面接:財務モデリング、バリュエーション
- 留学生にもオープン
- 給料:週$3,000-3,500
コンサル(McKinsey, BCG, Bain等):
- 早い:1月頃に終了
- 競争が激しい:MBA生の約半数が応募
- ケース面接がとても重要:20-50ケース練習が普通
- 留学生にも比較的オープン
- 給料:週$3,000前後 + 住宅手当 (+タクシー・食事)
Tech(Google, Meta, Amazon等):
- 遅め:1-3月(AdobeやMicrosoftは早い印象)
- プロダクト志向:PM(Product Manager)が大人気
- ケーススタディ + 行動面接
- 留学生にもオープン
- 給料:週$2,000-2,500
VC(Venture Capital):
- 非常に不透明:公募少ない、ほぼネットワーキングや2年生・先輩からの紹介
- 無給も多い
- 留学生には厳しい
- でも経験は貴重
スタートアップ:
- タイミングバラバラ
- 給料は低い($1,000-2,000/週、無給も)
- でも裁量は大きい
- OPT対応は企業次第
留学生が直面する3つの壁
1. ビザの壁:多くの企業が「Sponsorship(一般的にはH-1B)」の可否を募集要項に記載しています。この点がネックとなりアメリカでの就労ビザがない一般の留学生は募集をしても面接にすら呼ばれません。他にも下記のようなケースでそもそも選考の土台に乗らないことも多々。
- スタートアップ:OPT受け入れ経験がない場合も。HR自体がOPTを理解していないことも。
- 政府系・防衛・航空宇宙系:米国市民権や米国永住権が必要な場合あり。せっかく興味あっても応募すらできない。
- 一部事業会社:H-1Bスポンサー対応が不透明。「インターンはOKだけど、フルタイムは分からない」と言われることも。
2. ネットワーキングの壁:これは気概でどうにでもなりますが、就職活動でネットワーキングをあまりすることがない日本からの学生(少なくとも私は全くしたことなかったです)は若干苦労するかもしれません。
アメリカ人学生:
- 「お父さんから、投資銀行にいるMDを紹介してもらった」
- 「大学時代の先輩がGoogleにいるから話聞いた」
- 「家族の友人がVCやってる」
留学生(特に日本人):
- ゼロからネットワークを作る必要がある
- LinkedIn経由で知らない人にメッセージ送る
- Coffee Chatで「何話せばいいんだ?」と緊張する
- 英語での雑談が意外と難しい
でも、逆に言えば、ネットワーキングを頑張れば差別化できるということです。はじめは苦労しますが、一旦慣れてしまえば何も思わなくなります。とにかく知人・友人にWarm intro(誰か知人の紹介で面識のない人と知り合うこと)をお願いすることと、Cold call(面識のない人に連絡をとること)を恐れないことが重要だと思います。
3. 英語・文化の壁:ケース面接、グループディスカッション、Coffee Chat、もちろん全て英語です。内容以前に、スピードについていけないことも多々あります。うまく聞き取れなかった際には恐れず質問や会話を聞き返しましょう。
また、ニュアンスが伝わらない(「I’m excited」と「I’m interested」の違いとか)、ジョークが分からない(Coffee Chatで笑うタイミングを逃す)などやはり言葉・文化の壁は大きいです。特にコンサルティングや金融の場合は、実務でのスピード感もあり、「分かりやすく」「簡潔」かつ「論理的」に回答する、という点が求められます。何を言っても、最終「人」と「人」との仕事なので、採用側からのコミュニケーションのしやすさやフィット感は見られるでしょう。
でも、練習すれば必ず上達します。上達方法などはネット上にたくさん素晴らしい情報が転がっていると思いますので、そちらを参照ください。1点だけお伝えすると、当たり前のことなのですが、日常生活で触れるものをすべて英語にするのは効果的だと思います。スマホ、Youtube、PCなど日頃使うものをすべて英語にして、何か調べものするときも英語で調べる。そうすると日本語で調べていた時にアクセスできなかった情報にアクセスできます。
1番大切なことはあきらめないこと。日本からアメリカまで来たんです。アメリカ人はみんな英語を話すんです。やればできます!

インターンが取れなかったら?
これは誰も教えてくれませんが、約10-20%の学生はSummer Internshipが取れません。
私のクラスでも、優秀な友人が何社も落ちて、5月時点でまだインターンが決まっていませんでした。彼は「自分はMBAに向いてないのかも」と落ち込んでいました。
でも、それでキャリアが終わるわけではありません。
代替案:
1. Independent Study Project(教授と一緒にリサーチプロジェクト):多くのビジネススクールが提供しています。単位にもなるし、教授と深く関われるチャンス。
例:
- マーケティング戦略のリサーチ
- 新興市場の分析
- スタートアップのビジネスモデル研究
2. スタートアップでの無給/低賃金インターン:VCやスタートアップは夏でも募集あり。給料は低い(または無給)ですが、経験は貴重。
私の友人は、シードステージのヘルステックスタートアップで無給インターンをして、後にそこからフルタイムオファーをもらいました。
3. 起業(自分のビジネスを始める):こちらにきてから思ったことは起業が非常に身近にあることです。これはMBAだからか、アメリカだからか、は確かではありませんが、在学中はピッチコンテストや起業支援サポートなど、本当にたくさんの機会があります。
夏休みを使って、自分のアイデアを検証、プロトタイプ作成、顧客インタビュー、ピッチデックの作成などなど。MBA後に起業するなら、この夏が最もリスクの低いタイミングです。
4. 2年目の早期就活:夏がなくても、2年目の秋から本格的に動けば全然間に合います。
実際、インターンなしで2年目にGoogleに行った友人やインターンなしでMcKinseyにフルタイムオファーをもらった友人もいます。
5. 海外インターン:アメリカでダメなら、日本や他の国でインターンする選択肢も。
私の友人(中国人)は、夏に東京のAmazonでインターンをして、そのまま東京でフルタイムの仕事を見つけました。夏のインターンでインドに行く同級生もいましたので、探せば多くの機会があると思います。
もし夏のインターンで希望の会社で働けなかったとしても全く問題ありません。
覚えておいてほしいのは
- Summer Internshipは手段であって、目的ではない
- 取れなくても、キャリアは続く
- 焦って合わない企業に行くより、じっくり探す方がいい
- 2年目でいくらでも挽回できる
夏のインターンはとても重要ですが、それだけでキャリアが決まることはありませんのでご安心を!
あなたのMBA、応援しています!
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