はじめに:生活費の現実と突然の機会
MBA1年目の秋、私は生活費の高さに正直驚いていました。授業料は覚悟していたんですが、家賃、食費、交通費、全てが想像以上でした。貯金は減る一方で、「このままで大丈夫かな」という不安が常にありました。
そんなある日、Japan ClubのSlackに1通の通知が届きました。「日本関連の授業でTA募集。日本語が話せる人を探しています」。正直、「これだ!」と思いました。お金も稼げるし、自分の経験も活かせる。すぐに教授に連絡しました。
この記事では、私がMBA在学中にTAとして働いた経験を共有します。どうやってポジションを見つけたのか、実際の業務内容、収入、そしてSSN取得まで。TA workに興味がある人、生活費に悩んでいる人の参考になれば嬉しいです。
どうやってTAポジションを見つけたか
メールが届いたのは11月頃でした。Spring quarter(1月開始)の授業でTAを探しているという内容でした。求められるスキルは、日本語能力と日本でのビジネス経験。
多くのMBAには、Japan Clubをはじめ、各国のクラブがあるんです。China Club、India Club、Latin America Club、いろいろあります。これらのクラブのメーリングリストには、こういった機会の情報が流れてくることがあるんですよね。自分の文化的背景や言語能力を活かせる機会は、意外と身近にあります。でも、クラブに入っていないと、こういう情報は入ってきませんので、MBA入学したら、まずは自分に関連するクラブに参加することをお勧めします。
応募プロセス:意外とシンプルだった
正直、応募プロセスは想像よりずっとシンプルでした。フォーマルな応募フォームもなければ複数回の面接もありませんでした。
私がやったことは、教授にメールを送って、CVを添付しただけです。その後、教授のオフィスで30分ほど面談しました。教授は、私の日本での職務経験に興味を持ってくれました。「学生たちに、実際の日本のビジネス環境について教えてほしい」と言われました。
面談から数日後、採用の連絡が来ました。正直驚きましたね。「え、もう決まったの?」という感じでした。そもそも日本語が話せる学生があまり多くないので、競争率はそれほど高くなかったのかもしれません。ただ中にはTAをするにあたって、Internationalの場合は英語のSpeaking能力(学生のリード、指示、説明、フォローアップをする必要があるため)を確認するテストが設けられている学校もあるようです。詳細のプロセスに関しては通っている学校と担当の教授にご確認ください。
TAの具体的な業務内容
TAの仕事は基本的なことが多かったです。時期ごとに分けて説明します。
- 授業前準備:教授との打ち合わせが中心でした。週に1回、1時間ほどミーティングして、授業の内容を詰めていきました。私の役割は、新しくなった教科書の変更点の比較や日本企業のリサーチでした。また、ゲストスピーカーの候補もリストアップしました。日本企業の米国支社で働く人、日本でビジネスをした経験がある起業家、学校の卒業生など、教授と相談しながら人選しました。この段階では週5時間から7時間程度の作業でした。
- 授業期間中:授業で出欠管理や授業参加度などを担当しました。また、グループワークの際には、日本について学生からの質問に答えることもありますね。
- Japan Trip準備:学生たちが日本に行くための準備を担当しました。企業訪問のアレンジでは、日本企業の人事部や広報部に日本語でメールを送って、訪問の依頼をしました。
ロジスティクスの調整などは学校のInternational Officeの方が主導で進めてくださったので、それほどこちらですることはなかったです。この時期も週15時間程度の作業でした。計画的に進めれば、十分管理可能な範囲だったと思います。

収入とSSN取得:予想外のメリット
TAの時給は約$20で大体週の稼働時間が10時間程度でした。正直、この臨時収入は助かりました。社会人から学生に戻ると月々の収入がなく、貯金残高が毎月減っていくのを見るわけなので、精神的に負担が大きかったです。
でも、金銭面以上に嬉しかったのが、SSN取得でした。これは予想外のメリットでした。
TA雇用契約を結ぶと、SSN(Social Security Number)を取得する資格が得られます。通常、F-1ビザの学生がSSNを取得するのは、Summer internshipの時が多いです。つまり、1年目終了時の6月頃ですね。でも、私はTAとして働き始めた1月頃にSSNを取得できました。つまり、他の学生より5ヶ月から6ヶ月早くSSNを手に入れたことになります。
SSN取得のプロセスは意外とシンプルでした。学校の人事部に行って、Employment letterを発行してもらいました。それを持って、Social Security Officeに行きました。必要書類は、パスポート、I-20、そしてEmployment letterです。窓口で申請して、約2週間後に自宅にSSNカードが郵送されてきました。
SSNがあるとCredit scoreの構築を早く開始できます。SSNなしでも一部のクレジットカードは作れますが、SSNなしでは正式なFICO score (credit score)は付与されません。FICO scoreはSSNに紐付いているため、SSNがないと信用情報機関に記録される正式なcredit historyは始まりません。SSNがあればcredit scoreを構築でき、これは将来アパートを借りる時や車を買う時に重要になります。アパートを借りる際に、credit Score 560以上、といった要求が入っている事も良くあります。
授業・就活との両立:計画的に進めれば問題なし
週10時間程度のTA workと、フルタイムのMBAの授業・就活を両立できるか、最初は不安でした。でも、実際にやってみると、思ったより無理なく進められました。時間管理のコツは教授と定期的に「今週は何を優先すべきか」を確認することですかね。これをやることで、効率的に作業を進められました。
授業の成績も普通に維持できましたし、グループプロジェクトにも問題なく参加できました。計画的に進めれば、TAと授業・就活の両立は十分可能だと思います。
TAを通じて学んだこと:学生を評価する立場になって
TAとして働く中で、予想外に大きな学びがあったのが、「人を評価する立場に立つ」という経験でした。私のTA業務の一つに、出欠管理と授業態度の軽い評価がありました。誰が遅刻したか、誰が積極的に発言しているか、グループワークで誰がリーダーシップを取っているか。こういったことを記録して、教授に報告する役割がありました。
最初は、「ただ記録するだけだ」と思っていました。でも、実際にやってみると、これが思った以上に責任の重い仕事だと気づきました。私の評価が学生の成績に影響する可能性があるからです。
授業を重ねるうちに、学生一人ひとりの特徴が見えてきます。毎回、授業の10分前に来て準備している学生。授業中、常に質問をする学生。グループワークで、他のメンバーの意見を丁寧に聞いている学生。こういうまじめな学生たちを見て、「ああ、こういう姿勢が大事なんだな」と改めて感じました。
逆に、毎回遅刻する学生、授業中にずっとラップトップで他のことをしている学生、グループワークであまり貢献しない学生、提出物を出さない学生などももちろんいました。彼らに提出物を出してもらったり、授業で貢献してもらうために、工夫をするのですがそれにも時間がかかります。
TAを経験する前は基本的に「評価される側」のことが多かったですが、「評価する側」を経験して視野が広がりました。将来、チームをマネジメントする立場になった時、この経験が活きると思います。予想外の学びでした。
TAに応募すべき人・向いている人
留学時は本当にたくさんのことが同時並行で起こっており、どのイベントにでて、どこでLeadership positionに入るか、など予想以上に多くの機会がある一方、機会が多すぎるため取捨選択が迫られます。万人がTAをすべきとは思いませんが、こんな人にはTA workをお勧めです。
- 生活費を少しでも稼ぎたい人:月$900は、学生にとっては大きな金額です。家賃の一部をカバーできるだけで、精神的にもだいぶ楽になります。
- 早めにSSNが欲しい人:Summer internshipより早くSSNを取得できるのは、大きなメリットです。クレジットヒストリーの構築を早く始められます。
- 自分の文化的背景や専門性を活かしたい人:日本語が話せる、日本でのビジネス経験がある、こういった強みを活かせる機会は貴重です。
- 教授や学校との深いつながりを作りたい人:TAをやると、教授との距離が縮まります。推薦状を書いてもらう時にも有利です。また、担当するクラスの学生達とも知り合え、ネットワークもできます。
逆に、TA以外の時間の使い方が明確に決まっている人に無理にTAをお勧めするものでもないと思います。自分のスタイルに合った選択をすることが大事だと思います。

他のOn-campus Job探し方
TAのような機会は実は意外と身近にあります。アメリカの大学院で学んだことの一つは、自分から情報を取りに行かないと誰も教えてくれないということです。こちらでは、かなり多くの人が様々なことをSNSやSlackなどで告知しており、どんどん古い情報は埋もれてしまいます。すべての情報を網羅することは難しいですが、自分が興味のあるものを明確にし、その情報源に定期的にアクセスすることで、重要な情報の漏れを少なくできると思います。(結構普通に重要なVISA申請情報なども時々抜け漏れます。)
友人から聞いた話だと下記でOn-campusの情報を手に入れた人が多いようです。
- 各国のクラブが大きなの情報源です。Japan Club、China Club、India Club、Latin America Clubどのクラブでも構いません。自分に関連するクラブに入って、情報を集めることが大事です。
- 学校のキャリアセンター掲示板にもOn-campus jobの情報が掲載されることがあります。定期的にチェックすることをお勧めします。
- 教授からの直接アプローチも意外とあります。授業で積極的に発言したり、オフィスアワーに質問に行ったりすることで、教授との関係が築けます。そうすると、「実はTAを探しているんだけど、興味ある?」と声をかけてもらえることもあります。
- 先輩からの紹介も有効な方法です。TAをやっている先輩に話を聞いて、「次の学期のTA、私にやらせてもらえませんか」と相談してみるのも良いと思います。
最後に:行動すれば、チャンスは近くにある
もし今、生活費に悩んでいる人がいたら、ぜひOn-campus jobを探してみてください。MBA1年目は積極的に機会を探すことが大事だと思います。特に、自分の文化的背景や専門性を活かせる機会は狙い目です。日本語話者なら、日本関連の授業やイベントのTAなど自分の強みを活かせる場所があるはずです。
Japan Clubなど、クラブのSNSは必ずチェックしてください。そして「自分には関係ない」と思わず、とりあえず応募してみることも大事です。私も最初は「無理かな」と思っていましたが、応募してみたら意外とスムーズに決まりました。行動すれば、意外とチャンスは近くにあるんです。
この記事が、皆さんの参考になれば嬉しいです!