はじめに:現金もカードも使わない支払い方法
“Do you have Venmo?”
アメリカに来て最初に戸惑ったのが、この一言でした。友人とレストランで食事をして、さあ割り勘しようという時。日本だったら現金を渡すか、PayPayで送るか、あるいは「次おごるね」で済むところですが、アメリカでは「Venmoで送って」が当たり前です。そしてこのVenmo(ベンモ)やZelle(ゼル)という個人間送金アプリを使えないと、本当に日常生活で困る場面が多いのです。
日本にいた頃の自分には想像もつかなかったのですが、アメリカでは現金を持ち歩かない人がほとんどです。もちろんクレジットカードやデビットカードは使いますが、友人同士のお金のやりとりや、個人経営のお店への支払いは、VenmoかZelleがスタンダード。この記事では、渡米を考えている方や渡米直後の方に向けて、VenmoとZelleの使い方や違い、そしてなぜこの二つが生活の必需品なのかをお伝えします。
Venmoとは:アメリカの若者が全員使っているアプリ
Venmoは、PayPal傘下の個人間送金アプリです。日本で例えるならPayPayやLINE Payに近いですが、相違点としてその「ソーシャル機能」があります。Venmoで誰かにお金を送ると、その取引がタイムラインに表示されるんです(もちろんプライベート設定にもできます)。「Jack paid Taro 🍣 Sushi dinner」のような形で、絵文字付きで友人の支払い履歴が見えるのは、最初は少しびっくりしました。
使い方はとてもシンプルです。アプリをダウンロードして、銀行口座かデビットカードを紐づけるだけ。相手のVenmoアカウント名か電話番号、メールアドレスがわかれば、数秒で送金できます。銀行口座から送金する場合は手数料が無料です。クレジットカードからの送金は3%の手数料がかかるので、基本的にはデビットカードか銀行口座を使うことをおすすめします。
Venmoの送金上限は、本人確認後で週$6,999.99まで。通常の生活では十分な金額です。送金したお金はVenmoの残高として保持することもできますし、銀行口座に引き出すこともできます。標準の引き出しは1〜3営業日かかりますが、即時引き出しの場合は手数料がかかります。

Zelleとは:銀行が直接提供する送金サービス
Zelle(ゼル)は、Bank of America、JP Morgan Chase Bank、Wells Fargoなどアメリカの主要銀行が共同で運営している送金サービスです。Venmoとの最大の違いは、Zelleは独立したアプリではなく、多くの場合あなたが使っている銀行のアプリの中に組み込まれているという点です。つまり、新しいアプリをダウンロードする必要がないケースが多いです。
送金の仕組みもVenmoとは異なります。Zelleは銀行口座から相手の銀行口座に直接送金します。Venmoのようなウォレット(残高)機能はありません。その代わり、送金は基本的に数分以内に完了し、手数料は一切かかりません。これがZelleの最大の強みです。
送金上限は銀行によって異なりますが、多くの銀行で1日あたり$2,000〜$3,500程度です。相手のメールアドレスか電話番号さえわかれば送金できるので、操作も非常に簡単です。ただし、一度送金してしまうとキャンセルが難しいので、送る相手と金額は必ず確認してから送りましょう。

VenmoとZelle、どう使い分ける?
正直なところ、両方持っておくのがベストです。私の場合、こんな感じで使い分ける結果になってます。
友人との割り勘やカジュアルな支払い → Venmo。アメリカの若い世代(20〜30代)はほぼ全員Venmoを使っています。レストランでの割り勘、パーティーの費用分担、友人への誕生日プレゼント代の回収など、社交的な場面ではVenmoが圧倒的に主流です。「Venmo me(ベンモして)」はもはや日常会話の一部です。
家賃や大きめの金額・定期的な送金 → Zelle。ルームメイトへの家賃支払い、家具の個人売買の支払いなど、ある程度まとまった金額を送るときはZelleが便利です。手数料がかからず、銀行口座に直接入金されるので、ビジネスライクな取引に向いています。大家さんやランドロード(物件オーナー)がZelleでの家賃支払いを受け付けているケースも多いです。

こんな場面で使う:想像以上に出番が多い
また別の記事にてFacebook Marketplaceの重要性をまとめますが、基本的にFacebook Marketplaceで会った見知らぬ人にお金を渡す時や散髪屋でお金を払う時など、日常でVenmoやZelleを使用する機会は多々あります。具体的にどんな場面で使うか、いくつか例を挙げてみましょう。
まず、引っ越しの際の家具購入。アメリカでは中古家具をFacebook MarketplaceやCraigslistで買うのが一般的ですが、その支払いはほぼVenmoかZelleです。「現金で持ってきて」と言われることはほとんどありません。私も渡米直後にソファやデスクをMarketplaceで購入しましたが、全てVenmoで支払いました。
次に、ヘアカット。個人経営のバーバーショップや美容室では、チップを含めてVenmoで払えることが多いです。現金だとお釣りの問題もありますし、カード決済の手数料を嫌がるお店もあるので、VenmoやZelleで「ちょうどの金額を送る」のが双方にとってスムーズです。
そして、友人との食事。アメリカでは割り勘文化が日本以上に浸透しています。6人でディナーに行って、誰か一人がカードで全額払い、残りの5人がVenmoで送る——これが定番の流れです。日本のように「ここは先輩がおごります」という文化はあまりなく、MBA生同士でも毎回きっちり割り勘します。自分達がそれぞれ食べたものを言って、各個人分の税金・チップを加えて、完全に割り勘をした時は、アメリカだな、と思いました。
他にも、クリーニング代、ベビーシッター代、パーティーのピザ代の割り勘、友人への貸し借りの精算など、本当にあらゆる場面で登場します。
渡米したらまずやるべきこと
渡米後、銀行口座を開設したらすぐにVenmoとZelleの両方をセットアップすることを強くおすすめします。手順はこうです。
Venmoは、App StoreかGoogle PlayからVenmoアプリをダウンロードし、アカウントを作成します。米国の電話番号が必要です。その後、銀行口座かデビットカードを登録すれば完了。本人確認(Social Security Numberの入力)を済ませると送金上限が上がるので、早めに済ませておきましょう。
Zelleは、まずご自身の銀行アプリを開いて、Zelleの項目があるか確認してください。Chase、Bank of America、Citiなどの大手銀行であれば、アプリ内にZelleが組み込まれています。メールアドレスか電話番号を登録するだけで使い始められます。もし銀行アプリにZelleがない場合は、Zelleの独立アプリもありましたが、2025年にスタンドアロンアプリは廃止されたため、基本的には銀行アプリ経由での利用が前提になっています。
注意点:詐欺には気をつけて
便利なVenmoとZelleですが、一つだけ注意点があります。それは送金の取り消しが基本的にできないということ。特にZelleは、相手がZelleに登録済みの場合、一度送金したらキャンセルできません。Venmoも同様に、送った後の返金は相手の善意に頼るしかありません。
そのため、Facebook MarketplaceやCraigslist(このあたりのサービスに関しても紹介する記事を書こうと思ってますので、乞うご期待。)で見知らぬ人と取引する場合は、必ず商品を受け取ってから支払うようにしましょう。「先に送金してくれたら発送します」という類のメッセージは、ほぼ確実に詐欺です。対面取引が基本であり、商品を確認してからVenmoやZelleで支払うのが安全な方法です。
注意点:電話番号が使われている場合がたまにある
自分が渡米後、アメリカで電話番号を取得し、JP Morgan Chase Bankで銀行口座を作成し、Zelleを使っていました。ある時、友人からVenmo Meと言われ、Venmoアカウントを電話番号で作ろうとするが既にアカウントがあると言われる。Venmo Customer Supportに連絡すると既にアカウントがある、といわれる。もちろんそんな事はなく、自分初めてなので、依頼して作成をする。どうやら自分の電話番号を以前使っていたであろう人間がこの電話番号でVenmoを使っていた模様、時々自分のVenmoアカウントに知らない人間から入金がありました。毎回届くたびに違う人間に送っているよ、と伝え、送りたかった人間にこの番号の保有者が変わっていると伝えてくれ、と言いました。3-4回不明な入金があった後に完全に自分のVenmoアカウントになったと思っていますが、それでも知らない人から入金・少し会話する・返金する、という良くわからない作業があったものの、自分のVenmoアカウントはついに作成できました。もし日本へ帰国する場合や電話番号を変える場合は、こういった状況が発生するかもしれないのでしっかりと番号変更手続き、もしくはアカウントクローズの手続きを取る事を実体験からおすすめします。勝手に振り込まれるのも、知らない人へ返金するのも何か怖かったです。
おすすめ:旅行やルームシェアではSplitwiseも!
Splitwiseは、友人やルームメイト、旅行等で発生する出費を効率よく「割り勘」や「立て替え払い」できるアプリです。単発の出費や家賃の折半等であれば、VenmoやZelleで解決しますが、例えば、ルームシェアでの経費(家賃、光熱費、水道代、ガス代、インターネット、食費、クリーニング代等)が多岐に渡る場合を少々面倒です。他にもグループ5人で旅行やAirBnBでルームシェアするなど、経費の数が増える時にSplitwiseは重宝します。
Splitwiseでは、誰がいくら払ったか、誰がいくら払うべきか、人数頭割はもちろん%の調整も可能、レシートをスキャンするだけで自動読み込みしてくれ、計算をしてくれます。誰かが立て替えした時に「誰が何を立て替えて、誰が誰にいくら払うべきか、レシートと共に保管」という面倒な作業を一括してアプリ内で簡潔してくれます。ZelleやVenmoともアプリ内で連携していますし、支払完了機能もついているので、いくつかの経費が発生するという場合には非常に重宝します。

まとめ:VenmoとZelleはアメリカ生活のインフラ
日本でPayPayやSuicaが生活のインフラになっているように、アメリカではVenmoとZelleが個人間のお金のやりとりの基盤です。渡米してから「え、何それ?」とならないように、この記事で事前にイメージを持っていただければ嬉しいです。
渡米後の最初の一週間で銀行口座を開設し、VenmoとZelleをセットアップする。これだけで、友人とのディナーから家具の購入まで、お金に関するストレスが大幅に減ります。アメリカ生活を快適にする第一歩として、ぜひ覚えておいてください。
DreamAcrossでは、こうした「渡米前に知っておきたかった」情報を発信し続けています。アメリカでの新しい挑戦を、お金の不安なく始められるように。あなたの夢を、一緒に応援させてください。
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